おおおお久しぶりです~
毎度のことながら、自分でも忘れそうなペースの「紅玉~」久々の更新だがや!!
思いの外長々と続いてしまってますねぇ(他人事のように)
いい加減TEXTとして纏めてアップしないとなぁと思いつつも放置してますすいません。
もう忘れちゃったけどせっかくだから付き合ってやんよと言う優しい方は続きよりどぞ!
私信ですが
たぬさま
〉〉遅くなりましたが、優しいメッセージありがとうございます><、
少しずつ元気になってきてますが、たぬさまのお言葉で、更なる元気をいただきましたv
返信不要とのことでしたが、お礼だけでも・・・!本当に有難うございました!
「何故・・・何故、そう思われたのです」
確信を持って放たれた国王の言葉に、口内が干乾びていくような錯覚を覚えて、コウシロウはこくりと喉を鳴らした。
何故だろう。先刻からコウシロウの予想を超える国王の言葉や態度に、成す術もなく振り回されている気がする。腹芸は得意だと思っていたのに、何度もそれを覆されては薄皮を剥ぐように、少しずつ自身の中核を暴かれているようだ。
もしかすると自分は国王の真価を見誤っているのかもしれない。いいや、真価というよりも、国王の国王たろうとする根源にすら、気付いていたかったのではないだろうか。
突然、そんな漠然とした不安に襲われる。それとも恐怖なのか。
今すぐにここから逃げ出したい。けれどもっと近く、もっと深く、目の前の男の根底に触れてみたい。
相反する誘惑に揺れ動いたのは、コウシロウの心だけであったようだ。内心の葛藤も知らなさ気に、身体はじり、と国王へ詰め寄り、瞳は彼の人をまっすぐに映し続ける。
そんな彼の内外の矛盾すらも見抜いたのか、国王は更に笑みを深めてゆっくりと口を開いた。
「本当に玉座を狙うものならば、決してそれを口にはすまいよ。腹で何を考えようが、深々と頭を下げ、顔を隠して、俺に忠誠を誓ったろう」
「では、陛下が逆心ありと疑われた者はどうなさるのです」
「それもどうもしない。ただ眼を離さないだけだ。此処に呼ばれたと言うことは、それなりの能力があったということだ。疑いだけでむざむざ手放す必要もあるまい」
淡々と交わされる言葉に、徐々に体内の矛盾が消化されていくのがわかる。同時に、揺れ動いていた心が、一つの道筋を選ぼうとしていた。
それを決定的にすべく、最後の言葉を唇へと乗せて、殊更密やかに吐き出す。
「・・・・けれどその中に本当に謀反を起こすものがいたらどうなさいます」
「その時は殺す」
返ってきたのは、一片の迷いもない言葉だった。
冷徹とも取れる台詞を頑迷な意思に包んで投げ返してきた国王に、コウシロウは遂に心を決めた。
この王に仕える。それこそが自身が掴み取るべき道なのだと、そう悟った。
顔を隠すためではなく、内心を悟られないようにするためでもない。ただ目の前の主と決めた男に対して、自然と頭が垂れる。
故に、そのコウシロウの姿を見た国王の表情の変化に気付くことが出来たのは、黙したまま両脇に控えている重臣等のみであった。
伏礼しじっと控えるコウシロウのすぐ傍まで、人の気配が近寄る。誰とは問わない。ここまで厳格で圧倒的な雰囲気を纏えるのは、この部屋の中で唯一人しかいない。
「お前は王の器ではない。なぜならお前の心は常に国民のみに向けられているからだ。国ではない」
「・・・・・・・」
頭上から降り注ぐ声に、反論する材料は持ち合わせていない。ただ黙ってさらに深く頭を垂れる。
「いかに国民が安穏と暮らせるか、苦しまずに日々を送れるか、お前はそれしか考えない。国民を守ることを考えていても、国を守ることを考えていないからだ」
だからこそコウシロウに謀反を起こせる筈もないと国王は言った。
「だが、それこそが尊く、俺が最も必要とするものだと思っている」
最後に呟かれた言葉は、深い慈しみを湛えた中に一片の自嘲が含まれていた。
先刻までの自信と威厳に満ち溢れた国王の言葉とも思えず、思わず顔を上げたコウシロウの目に晒されたのは、泣き笑いのような表情を浮かべた国王の姿であった。
「・・・こんな方法しか取れなくて、すまなかったな」
民を苦しませて、お前の心を踏みにじる真似をして、すまなかった。
深々と頭を下げる国王に、コウシロウは今度こそ赤面した。
器が違う。そう思い知るには十分だった。
「い、いえ!私こそ身の程もわきまえずに無礼な言葉を・・・。お許し下さい」
慌てて再度叩頭するも、心中はその一言で占められたままだ。
そう、器が違う。
国民あってこその国だという考えは変わらない。けれど、国というものは国民を守るだけでは立ち行かないのだ。
戦をすれば国民は苦しむ。だからと言って、もし他国から攻められた時に戦をしなければ、国民は国という大きな居場所を失ってしまう。極端な例を挙げればそういうことだ。
国民あってこその国ではあるが、国という宿り木がなければ国民を守ることすら出来ない。深く繋がっているようで、その実、相反するこの二つは、時として冷酷とも取れる判断を強いられることもままあるだろう。
分かっていながらも国民しか選べない自分とは違うのだ。国を守るために、国民を選びたくとも選べない苦渋も、そのための覚悟も、全て内包し実行出来る器を持った人物がここにいる。
己の未熟さを痛感させられたはずであるのに、何故か泣きたいほどの喜びを感じた。
「俺は、お前の主として認められたか?」
もう心は決まっている。
「・・・・・正直に申し上げても?」
「無論」
全てを捧げる主を見つけたと、全身が歓喜に満ちている。
「では。・・・・やはり政のみであれば、到底我が主とは認められませぬ」
「ふん?」
「けれど。陛下の器は、得難いものだと存じ上げます」
この身の甘さすらも必要だと、求めてくれる貴方のためならば。
「細かな政については、非才なる身ではございますが、如何様にもお役立て下さい。陛下が御心を失わず、その得難き器にて全ての民を受け入れるとお約束くださるならば、」
我が忠誠を御身に捧げると、制約申し上げます。
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あ、あえ?今回では終わらなかったよ・・・?
あと1回で終わると思われ・・・!
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