忍者ブログ

約束の丘

ワンピースの二次創作ブログです。 SZ中心のZ総受風味なので、苦手な方は注意してくださいませ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

紅玉の君9(完結)

お久しぶりです生きてますてゆーか前回の日記から2か月以上経っててびっくりですこんばんは長月です。

いやほんと。まさかこんなに日が経ってたとは。
しかもいつの間にか忍者ブログの形式が変わってるし。もうびっくり(2回目)

ここに来てやっと「紅玉~」完結です。
予想外に長くなりましたよ・・・・。サンゾロのサの字もありませんよ。ここサンゾロサイトなのにね!
でも楽しかったです。おやじーず(笑)
楽しすぎて書くつもりもなかったエピソードやらを詰め込んでしまったせいで長くなったんですけどね。
そして最後の方が軽く本編の今後の複線くさーい感じになってますが、予定は未定です(きっぱり)
その内、ちゃんと編集してサイトにアップしようと思ってます。
とりあえずは最終話を続きへ畳んでますので、お付き合いくださる方はどぞv

いつも拍手ありがとうございますv
なんかもう・・・申し訳ないくらいです・・・でも嬉しいです・・・!

〉〉龍馬さま
おおおお祝いメッセージありがとうございます~~!!放置っぱなしですみませんすみません;;
私はお陰様で元気ですよ~v
地味に続いていた連載番外編、今回でやっと最終話です。少しでも楽しんでいただけると嬉しいデスv
拍手コメありがとでした~vv




「・・・と、まぁそのような感じだったわけだよ」
 懐かしさも手伝って一気に語ってしまったことに今更ながら気付いたコウシロウだったが、目の前の息子がやたらとキラキラした瞳で身を乗り出し聞き入っている姿を見て、柔らかな笑みを浮かべた。
 はてさて。この息子にはとんでもない美談に聞こえていたのではないだろうか。
 その懸念は正しく、まさに感じ入ったと言わんばかりのゾロが「さすがは陛下です」などと呟いている。これにはもう苦笑するしかない。
 実際はそんな綺麗な話ではなかった。ただ、今は既に思い出となってしまっただけだ。更に思い出というものは、えてして美化されやすいものだ。
 そうぼんやりと考えた脳裏に、今にも得意気にフフンなどと鼻で笑いそうな国王の顔が浮かぶ。
 なんだかそれが無性に腹立たしく感じて、コウシロウは未だに感心している息子の肩を軽く叩いて、にやりと意地の悪い笑みを浮かべた。
「さあ、どうだろう。今思うと陛下に上手く乗せられた気がしないでもないがね?あれで陛下は結構腹黒いんだよ」
 
 国王の器に感じ入った自身が居たことは確かだし、今でもその器は信じている。忠誠を誓ってもいる。
 だがあの謁見の後、国王は本気でコウシロウを使いまくってくれたのだ。
 
 下っ端のお前には油断するだろう。
 だからあれを調べてこい。
 国民第一のお前なのだから、端々まで視察できるだろう。
 だからあれとこれの調書を取ってこい。
 なぁ、政には如何様にも役立てろと言ったではないか?
 
 挙句には、余りの激務でフラフラのコウシロウに向かって「なんだ、その程度か」などとのたまってくれさえした。
 冷酷なのではない。コウシロウの挑戦されたら受けて立ってしまう性格を熟知された結果だった。あの時はパティやカルネも、コウシロウ以上の仕事を抱えて奔走していた。実際やらなければならないことばかりだったのだ。
 結果としては国王の思惑通りに事が進んでいたし、荒んでいた国政は安定を取り戻した上に発展までしていた。
 これも腹立たしいことだが、やはり相手が一枚上手だったということだろう。
 
 結局、最大の禁忌の言葉を出会い頭に言い放ってしまった為に、怖いものなしになってしまった自分だって、言いたいことは全て国王に叩きつけてきたのだからお互い様ではあるのだが。
 
 にやにやと彼にしては珍しい笑みを浮かべているコウシロウに、ゾロが戸惑ったように首を傾げていた。
「しかし、それで父上と陛下は今のように仲良くなられたのでしょう?」
「いや?これは陛下と私が出会った時の話だよ。確かに忠誠を捧げた切っ掛けではあるし、恐れ多くも陛下の信頼を頂くことも出来たけれどね」
「え?あの、では一体何が」
 更に首を捻ったゾロに、コウシロウは意地の悪い笑みを収めて、ゆるりと目を細めた。
「今は亡き王妃殿下を宮殿にお迎えするときの話だよ」

 
 王妃は血筋も途絶えんとする貴族の娘であり、子を宿すことは望めぬかもしれないと医師に告げられるほどに病弱な人であった。
 王妃と国王の出会いはコウシロウも知らない。ただ、風に倒されてしまいそうな野花のような儚さを持ちながらも、嫋やかな姿と柔らかな笑みが魅力的な女性であった。そんな彼女に癒され、守りたいと思ったのかもしれない。
 しかし、国王の婚姻は個人の感情だけでは許されないものである。王妃には次期国王たる人物を宿す役目がある。残酷なようではあるが、それをこなせないと懸念される女性は受け入れがたいのが現実ではあった。
 実際、主だった家臣等は反対したし、息子のすることを黙って見届けていた前国王すら少々複雑な笑みで言葉を濁していた。勿論コウシロウとて如何とも言い難い感情を抱え込んだものだ。
 確かに国王に絶対の忠誠を捧げた。だがそれはゼフならば必ず国民を守ってくれると、そう感じたからだ。如何に国王自身が善く国を治めたとて、後継ぎがいなければ国民はやはり不安になる。そしてその不安は、決して良い結果を生み出しはしないだろう。
 ただ、渦中の女性自身の人柄は素晴らしいものであった。国王を心から慕っていながらも、いや慕っていたからこそなのだろう、周囲の感情を敏感に感じ取り黙って身を引こうとするような女性だった。それだけに余計に心苦しい気がして、さすがのコウシロウも国王に意見することは躊躇われた。躊躇われたけれども、己の心は国民へ向けられており、それを国王から許されている。
 
「では、父上は陛下に忠言なされたのですね」
「ああ。漸く落ち着いた人心を惑わすことは止めてくれ、とね」
「それで、陛下はなんと?」
「ふざけるな、と一喝されたよ」
「は?」
 見開かれたままのゾロの瞳が、ぱちりと大きく瞬く。その瞳の奥で困惑がさらに深まっているのを感じ取り、コウシロウはゆるりと笑みを深めた。

「結局は器の大きさが違った、ということだよ」
 
 あの時の国王の強い瞳は、今でも忘れられない。
 真っ直ぐな視線で、迷いのない言葉を紡いだ国王の姿は。
 

「王家ではなく国を守るものが居れば良いのであろうが。俺はあいつしか要らん。あいつ以外の女など必要ないわ。子が出来なければ親戚だろうが臣下だろうが、真実国を守り抜く気概のある奴に譲れば良いだけのことよ」
 

 その言葉で、コウシロウの全てが決まった。
 既に誓った忠誠ではあるが、心は国民へと捧げる事を許されてはいるが、これからはその心すらも国王へと捧げよう。
 絶対の信頼をもって、全てを国王へ。
 
 あの後、コウシロウは国王の意思を受け入れ、周囲の説得に走り回った。
 結果的に王妃が早逝する不幸はあったものの、サンジという王太子の誕生もあり、事は丸く収まったといってもいいだろう。
 そして、型に囚われない強い情熱を示した国王と、それに応えたコウシロウとの絆が深まった一件でもあったのだ。
 
「・・・・え?最終的な理由はそっちなんですか?」
「おかしいかい?・・・・ゾロにもいずれ分かるよ。己の全てを投げ捨ててでも守りたいと思える存在が、どれほどに大事なのかということにね」

 コウシロウの言葉に眉を寄せる年若い息子には、まだ難しいかもしれない。
けれど知って欲しい。人には何を犠牲にしても譲れない、大切なものがあるのだと。
 それは信念であったり、物であったり、人それぞれではあるかもしれない。そしてそれは互いに理解し得ないものかもしれない。それでもその心に触れ合うことで、相手を知り、絆を深めることが出来るのだと。

 「だからね、ゾロ。第一印象で決めつけてしまわずに、全てを見極めなさい。相手が何を守りたいと思っているのか。何を譲れないと思っているのか。それを知ることで、深まっていくものもあるのだから」

 一息ついて言葉を切ると、生真面目な表情で頷いていたゾロの肩を控えていた女中頭がそっと促した。
 気付かないうちに相当な時間を話し込んでいたらしい。一礼して退室していくゾロを見送りながら、コウシロウはゆっくりと息を吐き出して、椅子の背凭れに体を預けた。
「私はゾロに酷なことをさせているのかもしれないな・・・・」
 ぽつりと呟いた言葉が室内に響く。それは悲痛な色を纏っていた。
 
 ゾロに語ったことは全て真実だ。そしてゾロに要求したことも確かにコウシロウの願いだ。
 ただ、その相手を決めたのはゾロ自身ではなくコウシロウだということが、重く肩に圧し掛かっていた。
 
「大丈夫ですよ。坊ちゃまなら」
「そうだろうか」
 重く沈んだ空気を吹き飛ばすように、女中頭の声が明るく響く。それに軽く笑って顔を上げたコウシロウに、彼女は豊満な体をどんと叩いて大きく頷いた。
「勿論。あたしゃ政治の事とかよく分かりませんけどね、旦那様と坊ちゃまの事なら信じてますからね」
 それじゃ心配性の旦那様が寝付けるように何か他の温かい飲み物でも用意しましょうかね、とからからと豪快な笑い声をあげて部屋を後にする女中頭に礼を言って、コウシロウは再び背凭れに体を沈め、ゆっくりと瞳を閉じた。
 
「そうだね。私も信じているよ、ゾロ」
 
 近年、周囲の国々の状況が激変している。きっとこの国もその流れに逆らうことは出来ないだろう。そしてそれは一人では抗うことが出来ない激流となることは間違いない。
 ゾロ以上に年若く未熟な面が多い王太子だが、彼も何ものにも侵されない強い部分をもっていると感じている。だからこそ、ゾロを王太子の側に付けた。
 押し付けられた運命ではあるが、二人の絆が深まってくれれば、きっと乗り越えてくれるだろう。二人が本当に守りたいものを守り通せると、信じている。
「例えそれがどんな結末を迎えたとしても、ね」
 出来るならばそれが二人にとって心安らかな結末であることを、今の自分には願うしかないけれども。
 
 閉じた視界の奥から食器の触れ合う微かな音と、暖かな匂いが届いてくる。
 頬を緩めたコウシロウはそっと瞳を開けて、その来訪を待った。

 END

++++++++++++++++++++++++++++++++
これにておやじーず編は完結です。いまいち纏まり切れなかった感満載ですが(泣)
この後はまた本編の二人に戻ります。

PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]