なんてゆーか、再開します~とか言っておきながら間が空いて申し訳ないです・・・;;
しかしこれ以上のペースアップは現在無理なので、このままペソペソ描いてゆきますよ~~
気が向きましたらお付き合い下さいませ^^
ではでは。
「紅玉の君3」は続きからどうぞ~
国王の不在に、当然の事ながら宮殿内は上へ下への大騒ぎであった。
家臣等は慌てふためき、隠居したばかりの前国王や兄に助けを求めた。だが二人は密やかに苦笑して「お前たちが任せられたのだから、ゼフが帰って来るまでお前達で何とかしなさい」と至極軽く流してくれただけだった。
そうなってしまうと後は自分たちで何とかするしかない。兎に角国王不在の間は国政を保たねばならないと、重臣等は必死であった。
それはコウシロウとて例外ではない。当時まだ仕官したばかりの下っ端であったが、下っ端な分、必死な重臣等には手が回らない雑事を全てこなす必要があったのだ。
膨大な仕事を国王もなしにこなしていく。それは想像以上に家臣等の心を苛んだ。
疲れた心は同僚への苛立ちとなり、国王への不満となり、結果待ち受けていたのは家臣内での分裂であった。
「陛下には何かお考えがあっての事なのだ!」
「考えとは何だ。何も言わずに突然国を放り出した事にどんな考えがあると言うのだ!」
喧々囂々、議会は荒れに荒れ、宮殿内はぴりぴりとした空気が常に張り詰めていた。
「今でもあの時の事は思い出したくもないよ・・・」
遠い目で語る父に、ゾロは曖昧な笑みを浮かべる事しか出来なかった。
コウシロウはどちらかと言えば仕事人間だ。勿論仕事にかまけて家族を蔑ろにする訳ではなく、実際惜しみない愛情を注いでくれたが、与えられた仕事を確実にこなし、その成果を実感する事に意義を感じる様な人間だった。
そのコウシロウをして二度と嫌だと言わしめた当時の状況は、本当に最悪だったのだろう。
「・・・・大変だった、んですね・・・」
「そうだね。仕事もその時の雰囲気の悪さも大変だったけれど、それ以上に厄介な事が多かったんだよ」
困ったように笑う父に眉を寄せる。
コウシロウはそんなゾロの様子に「厄介事」の中身が想像出来ないのだろう事に気が付いた。
ゾロは愚直な程に生真面目である。国王が不在なのであれば大変だろうと家臣等で国を支えて行くしかないではないか、と素直にそう考える性質だ。
だからこそ、その「厄介事」に思い至らない息子が父親として誇らしく、同時に心配でもあった。
「つまりね、ゾロ」
眉を寄せたまま首を傾げる息子に、ゆったりと話しかける。
この真っ直ぐな心根を持った息子には、出来る事ならばそのまま汚れを知らずに育ってもらいたい。
けれどこれから置かれる息子の立場は、綺麗事だけでは成り立たない。どれだけ抗おうとしても、汚れた部分が必要とされる時が必ず訪れるのだ。
ならばそれを教え、導くのは自分の役目であろう、と軽く息を吐く。
喉につかえる様な違和感を覚えて、手を伸ばしたカップはいつの間にか空になっていた。ごく軽く眉を持ち上げると同時に新たな紅茶が注がれる。
相変わらず細やかな心配りをしてくれる女中頭に微笑みかけ、コウシロウは再びゆっくりと口を開いた。
「あの頃の王宮は本当に酷かった。重臣方は右往左往して端々まで目が届かない。統括し、導くべき国王もいない。国政は辛うじて支えられている状態。そうなるとね、必ず出て来るものなのだよ」
自らの立場や権力を利用して、個人的な益を求める人間というものはね。
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コウシロウさんは密かに親馬鹿です。
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