いえー・・・・・
お久しぶりです。もうこんな連載忘れられてるんじゃなかろうかと思いつつ、忘れられてんならいっそ自分の好きなことだらだら書いちゃえばいいじゃん!と開き直った結果です(えぇ~・・・・)
色々と語りたいことはあるんですよね。
ワンピのコミックで何フツーに一緒にいるんさおまえら!って悶えたゾロとミホークとか。
ペローナちゃん可愛いとか。
お嫁様の黒騎士萌えるとか。
色々。色々ね。
でも最近悟ったこと。
私、萌が大きすぎるともう胸一杯になって、語りたいのに言葉にならなくなるらしい。
ああんもう。語りたいのに語れないよ!!
こんな時テレパシーってあればいいのに!!
そんなどうでも良い事を考えつつ、続きから小説でーすよー。
読んでやんよ!って方はつづきからどぞ!
「まぁ、でも、無駄な経験だったとは思っていないよ」
みるみる曇っていく息子の顔に、コウシロウは困った様に笑って頭を掻いた。
現在、狐だ狸だと国王に揶揄られる彼の気性は、あの時期に形作られたようなものだった。
自身の腹の底は悟られないよう、しかし相手の腹は油断させた隙に余す所なく掻っ捌いてしまうよう、計算に計算を重ね、罠を張り巡らし。そんな暗躍が実は得意だったのだと気付かされた時は、少なからずショックだったのも今ではいい思い出だ。
ただ、これらが今後も必要な能力であると瞬間的に悟り、迷うことなく存分に力を揮った自分は、目の前の息子ほどには純粋ではなかったかもしれないが。
眉根を寄せ低く唸るゾロをコウシロウは柔らかく見つめる。
果たしてこの息子は王宮の奥に隠れているドロドロとした腐臭に耐えられるのだろうか。
耐えられなければそれまでの男だと、先日国王へ告げた言葉に偽りはない。耐えて当然であるし、その上で踏み潰すか利用する位の強かさを持って貰いたいと思っている。ただ同時に、今ゾロが持っている純朴さを失わないで欲しいとも願っている。
ゼフの言葉ではないが、ゾロは本当に大変な父親を持ってしまったものだ。
「さて、話の続きだったね」
相反する願いを勝手に託されてしまった息子に軽く苦笑して、コウシロウは再び言葉を紡ぎ始めた。
謁見の間に鎮座する豪華な椅子が、本来の主を迎え入れることが出来たのはそれから一年後の事だった。
国政は辛うじて形を保っていたものの、王宮内に巣食っていた醜い感情は強烈な腐臭を放って城下へと溢れ出す寸前であり、その中にあってほんのわずかな理性を保っていた家臣等は息も絶え絶えな状態の中、ふらりと国王が姿を現した。
「世話をかけたな」
出奔した時と同様に便りもなくいきなり戻ってきた国王は、けろりとした表情で労いの言葉ともいえぬ台詞を吐いた。
ずらりと並んだ家臣等を前に、玉座の背に身体を預けて大きくふんぞり返った様はいかにも傲慢で無遠慮に見える。それでも国王の纏う覇気や鋭い視線が、それらの不作法すらも国王の威信をさらに際立たせているようにしか見えなかった。
荒々しくも逞しく、厳威たる我らが国王。
国を空けたことについて言及するでもなく、ただそう呟いた一人の重臣が膝をつき、数名の家臣がその言葉と動作に従ったのも無理はなかったのかもしれない。
しかしそれすらも謁見の間の家臣等の列、その末端に並ぶことを許されたコウシロウには、腹の底からふつふつと沸いてくる怒りを増長させる原因にしかならなかった。
それは義憤などという崇高なものではない。紛れもない私憤だった。
行き届かない国政で民にも苦労を強いた。その怒りも勿論ある。
けれどそれ以上にコウシロウの胸を占めるのは、自身の忠誠を裏切られたことによる怒りだった。
この身を国のために役立てたかった。
そのために国王に全てを捧げると誓った。
だが国王は、その心を踏みにじったのだ。
「本日より職務に戻る。休みを与えられずに苦労を掛けるが、皆も元の仕事に戻ってくれ」
そう言い置いて立ち上がった国王の姿が消えると、立ち並んでいた家臣等がぞろぞろと持ち場に戻っていく。その中でただ一人、コウシロウは冷たい瞳で玉座を睨み付けていた。
元の仕事?それは血税を懐に収める事か。力なき市民を脅かす事か。
―――――裏切られ、行き場のない忠誠に苛まれることか!
握りしめた拳に更に力が加わる。食い込んだ爪が皮膚を破らんとしたその時、コウシロウの肩にやんわりと手を置いた人物がいた。
はっと振り向いた先にいたのは先刻国王と共に奥へと下がった重臣の内の一人だった。
「パティ殿・・・?」
「お前が行くのはこっちだ」
何故呼び止められたのか分からずに困惑するコウシロウに、くい、と顎で方向を示す。示された方向が国王の執務室だと悟り、悟った結果さらに困惑は深まった。
何故自分の様な下っ端が呼ばれるのか。いやそれよりも、今は国王の顔を見たくない。
様々な感情が飛来しては消えていくコウシロウの心情を理解してかどうか、パティは宥めるようにぽんぽんと肩を軽く叩いてきた。
肩におかれた腕はコウシロウの胴回りよりも太く、盛り上がった肩に埋もれるようにして鎮座する顔は、はっきり言ってガラが悪い。
けれどもその外見に反して彼はやたらと面倒見が良い。そして涙脆くお人よしだ。その人格は腐敗した王宮内において、少なからずコウシロウの拠り所となっていた。今まで何とかやってこられたのは、彼や彼の様にただひたすらに真摯な人間が僅かにでも居たおかげだった。
正直国王には会いたくない。けれどもパティがそれを要求するのならば逆らうわけにはいかない。
小さく息を吐いて示された方向に足を向けたコウシロウの背を、パティが励ますように大きく叩く。その強さによろけたコウシロウは、背後の重臣が意味ありげに浮かべた笑みを見ることはかなわなかった。
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