ワンピースの二次創作ブログです。 SZ中心のZ総受風味なので、苦手な方は注意してくださいませ。
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職場にインフル君襲来です。
おかげさまで職員の人数が足らずに、これって労働基準法に引っかかるんじゃなかろうかと本気で考えてしまう状況に陥っておりますよ・・・トホホ
そんな中での妄想は本当に心の癒しですなぁ・・・・。
と、いうわけで「紅玉の君6」追記よりどぞ~
「政には興味が薄いやも知れぬ。けれど暗王にはなるまい」
国王が不在の間、一度も開かれることのなかった扉は、しかし軋むこともなく滑らかな動きで訪問者を受けいれる。
初めて足を踏み入れた国王の執務室は、想像していたよりも質素な作りであった。窓硝子に掛けられたカーテンは生地こそは厚く上質ではあるものの、余計な装飾は一切施されておらず、無造作に束ねられている。調度品はと言えば、扉のすぐ横に設置された花台くらいで、後は豪華さよりも頑強さに重点を置いた国王の執務机があるのみだった。
質素でこそあれ、決して狭くはない部屋の奥に、先刻激しい怒りと共に見送った国王の姿を認める。その右脇にはやや小柄で気だるげだが、鋭い空気を纏った一人の重臣が控えており、左脇にはたった今コウシロウを導いてきたパティが立ち並ぶ。
本来であれば気軽に言葉を交わす事も儘ならない人物らを前に、けれどコウシロウが放ったのは儀礼的な挨拶でも叩頭でもなく、そんな言葉だった。
「それが『貴方』が即位なさる際に囁かれた感想でした。―――実際は、暗王どころではなかったようですが」
ぴくりと国王の眉が動くのも構わずに言葉を紡ぎ続ける。
「玉座に興味がおありでないのなら、私にお譲りください。『貴方』は煩わしい事から解放される、私はこの忌まわしい葛藤から解放される。良い事ずくめではありませんか」
言葉を連ねる毎に、国王を中心とした空気が重く緊迫したものへと変質していく。不穏に漂う空気が凝縮し、咽喉元に刃を突きつけられた様なひやりとした感触に、背中を嫌な汗が流れ落ちたが、コウシロウは視線を逸らそうとはしなかった。
国王の不興を買おうが、極刑を命じられようが、構わない。
ただ、思い知れば良い。
国王と言う立場が如何に重いものであるのかを。
たった一言がどれだけの民に苦痛と絶望を与えるのかを。
「・・・・・新しく入った家臣の中に、えらく使える奴がいるってぇ聞いてたんだがな?」
決して短くはない時間睨み合っていた結果、先に口を開いたのは国王の方であった。
視線はコウシロウに向けたまま、呆れたように息を吐く。それだけで異様な緊迫感は霧散し、室内には緩んだ空気が流れた。
「ええ。使える奴ですよ?その証拠に陛下を『無能』だと、正しく断じたんですからね」
そ知らぬ顔で応じたのはパティだった。不機嫌そうな国王の言葉に、のんびりと答える。 右脇に控えた重臣も、コウシロウが入室してからずっと沈黙を貫いていたが表情に変化はなく、この空気に気圧されつつあったのは己だけだと知って、内心赤面する思いだった。
「というか、パティ殿・・・・!!私はそこまで申し上げては、」
同時に、要約しすぎたパティの台詞に慌てて声を張り上げる。張り上げた後に、気付いた。
無能とこきおろす無礼以上に、玉座を明け渡せと反逆以外のなにものでもない台詞を吐いたのは自分だと。
そこまでどころではない。それ以上のことをやらかしたのだと漸く自覚したコウシロウは、一気に蒼褪めた。
なんてこと。自分はなんてことを。
ぐるぐると脳内を駆け巡る後悔に、足元から瓦解していくような錯覚に襲われる。ぐらりと揺れた身体を支えたのは「ぶほっ」という奇妙な声だった。
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実はゾロよりも青臭かったコウシロウさん。
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